「人生で、最も感動的な瞬間は、いつだった?」
そう問われたら、3番めくらいに「フリーランスとして独立した瞬間」と答えるだろう。ちなみに、1番めは子供が生まれた瞬間、そして2番めは結婚した瞬間だ。
とはいえ、1番と2番の感動は、生物としての、本能的な感動でもある。正直、他の感動と比較しては桁が違うので、もし人間の理性を最大限に働かせた状態なら、実質「フリーランスとして独立した瞬間」こそ、最も感動的な瞬間になるだろう。
その日、私は会社を辞め、その足で仲間と独立祝いパーティーを開催した。家に帰り、深い眠りについた翌朝、眠い目をこすりながら目覚めると、すでに朝の10時をまわっていた。
私は「やばい!遅刻だ!仕事にいかないと!」と飛び起きる。だが、寝ぼけた頭はすぐに目覚め、その瞬間「自分はもう会社に行かなくても良いこと」を思い出した。
一瞬「おおおーーー! 自由だ!何にも縛られないんだ!」という嬉しさが込み上げたが、同時に、これから自分で仕事を作っていくんだ、という不安やワクワク感、自分ひとりで戦うのだ、という寂しさ、たくさんの複雑な感情が胸に溢れた。
のそのそとベッドから起き上がり、シャワーを浴び、朝食を食べた。一連の朝ルーティーンを終え、寝ぼけモードから仕事モードに切り替えると、すぐに画用紙を広げた。そして、真白い紙の中央に「どうやって仕事を作っていくか」という一文を、書き加えたのだった。
冷静になった頭で思った。今の自分には、あまり仕事がない。このままだと、生きていけなくなる。では、いったいどうやって仕事を作っていけばいいのか。その方法を考える必要がある。理想は、どんどん仕事が生まれてくる状況だ。もし自分で稼げる仕事や仕組みを生み出せたら、これ以上の安定はない。
そう。人は仕事を自分で作り出せたら、最高の安定を手に入れられる。世界のどこにいても、ゼロからその場で仕事を作り出せたら良い。仕事を生み出すスキルさえあれば、どこにいても稼げるのだ。たとえ地球の裏側でもだ。
逆に、仕事の作り方がわからなければ、会社や誰かに仕事をもらう必要がある。会社だって倒産するかもしれない。でも仕事の作り方がわかっていれば、会社が倒産したところで、痛くも痒くもない。
それからというもの、私は仕事をゼロから作るノウハウや手法を構築することに邁進した。言ってみれば、人は好きな仕事を作り出せて、はじめて本当に自由になる。仕事をゼロから作り出すことは、人間が本質的に、資本主義の中で、自由になるための王道スキルだ。
仕事を作るスキルの意義を、理解して頂けただろうか。理解して頂けたと信じて、今回は「具体的にどうやって仕事を作り出すか」を話していこう。仕事を作り出せるようになることで、あなたは本当の意味で自由になれる。そのために役立つのが「ビジョン」という言葉だ。
なぜ、自分はこの仕事をするのか。「なぜ」は、仕事を作り出す上での最重要ワードだ。その仕事をする理由、自分が成し遂げるべき対象。それがビジョンそのものとも言える。
ビジョンというと、非常に大きなイメージを持つ人もいるだろう。強烈に感情移入できる人がいれば、きっとそれは少数派だ。世界を変えたいだとか、人間を救いたいとか、そうしたビジョンを語る者もいるし、私もその中のひとりだ。だが、その重さに全員が共感できるなんて、到底思わない。
ビジョンとは仕事の種だ。そこから目が出て、実ができ、仕事が生まれる。「さあ、今から仕事を生み出そう!」と言ったって、大半の人には、やりたいことが無いのも知っている。では、いったいどこを目指せばいいのか。その道標こそ、ビジョンなのだ。
この一言につきる。そして、この一言からビジョンは生まれる。
社会にはたくさんの問題がある。少子高齢化、待機児童問題、格差社会、もう数えればきりがないほど、たくさんの問題がある。もっと細かい問題で言えば、例えば「友達がよく喧嘩しているから仲直りしてほしい」だったり「キャビア入りアイスクリームを食べたいけど、身近に売ってなくて不便だ」だったり「昔の友達に会いたいけど、連絡先がわからない」だったりする。
こうした問題を解決するといい。そして、その先に少しでも「ちょっと便利になった世の中」があるなら、それがビジョンだ。例えば「昔の友達にすぐ連絡が取れるようにしたい」「みんなすぐに喧嘩を辞められる精神力を持ってほしい」「お気に入りのアイスクリームがすぐ食べられるようになってほしい」とか。具体的に目指すゴールが生まれたら、それこそビジョンとなる。
そして、具体的にそれらの問題を解決するサービスを生み出し、提供できたら、それはもう仕事だ。問題を見つけ、その先のビジョンを見つけ、そして実現する。この一連の流れこそが「ゼロから仕事を生み出す」という行動なのだ。
今社会にある問題について、調べてみよう。自分の住んでいる地域や身近にある問題を調べ、リストアップしてみよう。いくつか見つかるはずだ。
見つかったら、自分で解決に向けて動き出せそうな問題を1つ選ぼう。そして、どうやったら解決できるかを考え、解決策をサービス化しよう。これが「ない仕事の作り方」の基本だ。社会にある問題は、皆が「早く解決してくれ」と頭を悩ませるものだ。だからこそ問題として存在している。
その結果、もし「お金を少し払ってでも解決したい」問題があったのだとしたら、それが仕事になる。そして、ビジョンになる。仕事の作り方とは、世の中にある問題を解決することなのだ。
こうした流れで生まれた仕事は、既に皆が問題意識を持ち、誰か解決してくれることを望んでいる。だからこそ、マーケティングも容易くなる。皆が問題であると認識していないものを売るのは難しい。一方、すでに「問題」という共通認識が存在していれば、容易く売れる。
もしかすると、最初の段階では「ひとまずこの問題を解決していこう」という挑戦ベースのモチベーションかもしれない。壊れそうな橋に足をかけ、まず一歩だけ進んでみよう。そんな不安が勝っているかもしれない。ところが不思議なことに、実際に取り組むべき問題を決め、事業化を進めていくと、徐々にモチベーションはあがり、自信がつき、感情移入が強まる。
そして、後々、自分自身が成すべきこと、自分自身にしか出来ないこととして認識が強まるのだ。ほとんどの方がそうなる。だからこそ、問題とビジョンを決めたら、とにかく初めてみることだ。全力で取り組み、ビジョンを語り、こんな問題を解決したいのだとメッセージを発信しよう。すると、いつの間にか問題解決への意識は、自分のビジョンとして定着している。
なお、問題解決するときは、自分のまったく手の届かないところを夢見るべきであはない。どんなに大きな仕事になりそうでも、自分の許容量を遥かに超えてしまうものは危険だ。大抵が実現の難しさに諦めてしまったり、仕事がなかなか実現しなかったりして離脱してしまうからだ。
実際に始めるところは、自分の手が届く範囲の問題を意識するといい。まず出来ることから初め、徐々に事業化が進んできたところで段階を上げていこう。いきなり大きな投資や行動から始めようとすると、すぐ行き詰る。
さて、みなさんは、どんな問題に対して取り組み、事業化していきたいだろうか。まずは、問題をリストアップし、解決に向け、歩きだせそうなことから初めてみよう。さらに「この問題を解決し、こんな社会を実現する」といったメッセージを発信しよう。そこから、あなたの物語ははじまる。
様々な事業開発に携わり、自らも連続的に事業を立ち上げる環境下で培われた事業デザインスキルと、高品質な技術をWEB制作に組み入れた独自手法で「求められるWEBサイト」をご提供。単純なWeb開発ではなく事業およびユーザー視点から、皆様のビジネスを手助けします。
CONTACTARTICLE FOR YOUR BUSINESS