経営者の方からよく聞く言葉があります。「英語が話せるだけだと意味がない」という言葉。結論から言いますと「話せるだけで相当価値がある」と訂正した方が良いでしょう。雇う側が、英語を話せる人の使い道を間違っているだけです。英語を話せるだけで、環境によっては、かなり大きな価値となります。
日本の環境は変わりつつあります。これまで国内で称賛されていた商品やブランドが力を失い、どんどん海外ブランドに取って代わられてきていることを感じている方も多いでしょう。特に、IT機器やインターネットサービスにおいては、日本発のブランドはほとんど存在せず、海外で生まれたブランドばかり耳に入るようになってきました。日本は蚊帳の外です。
繰り返されるイノベーション、進化していく商品。それらのスピード感に日本の速度が追いついていないとも言えます。世界でトップクラスの技術や知識もあるのに、最新の流れに対応出来る速度感が無いように思います。加えて、昔は最先端をひた走っていたオリジナリティも見る影なく、既存の利益を回しているだけの場合が大半です。
こうした世界と日本のギャップを感じ取れていないことにも問題があります。今後、日本が向き合うべきは海外企業です。国内のライバルばかりを見ている時代はすでに終焉を迎えつつあるのです。日本国内だけ見ていたら、世界の膨大なお金をもった企業に、一瞬で日本市場を支配されてしまうでしょう。
そんな中、まだまだ発展途上のフィリピン、セブ島で、ある若い人々に出会いました。
週末、クラブに遊びにいった時のことです。セブ島にはLIV SUPER CLUB という、かなりオシャレなクラブがあります。先に入っていた友人が、何名か友達が出来たというので、急ぎ足でクラブに向かいました。すると、カジュアルな服装で遊びに来ている人が3名。想像以上にしっかりした身なりだったので、ある程度良いポジションの人なのかな、と感じました。
その夜は、特に彼女および彼らが何者か、ということはあまり考えず、一通り楽しい時間を過ごしました。仕事についても聞いたのですが、マーケターとシステムエンジニアの方、というだけ聞いたにすぎません。高度な仕事をしている方たちなんだなと思っただけです。
驚いたのは、帰宅後Facebookで彼らが何者だったのかを確認した時です。特に、マーケターと名乗っていた方はチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)として働いていたのです。
日本は、マーケティングについて弱いと言われています。しっかりとしたマーケティングの概念や方法を企業が取り入れるようになってきて日が浅いためか、まだまだ使いこなせている人はいません。一方で、米国ではマーケティングが非常に重要視されており、常にその存在が企業と共にいます。その中で、企業内のマーケティングを全て指揮する人物が、CMOなのです。
CMOの手がける範囲は多岐に及びますが、基本的にはあらゆるマーケティング戦略を統括する役割をもっています。日本ではまだまだ概念としても少ないポジションであるが、米国では既に代表取締役と同じくらい重大なポジションとして認知されています。
そんな日本においては最先端のポジションが、既にフィリピン企業の中に息づいていたのです。たまたまCMOの考え方を取り入れている企業だったのか、それとも既にフィリピン国内では米国同様、当然の役職なのか。もし後者だったのだとしたら、日本の一般的な中小企業よりも、マーケティングに関する組織が、よりしっかりした構造を持っている可能性がある。ただ、そこからは掘り下げられずじまいだったので、いつか聞いてみようと思います。
こんな状況に遭遇して、フィリピン国内の企業に対する可能性を感じたのも、もちろん、英語を話せたからです。万が一CMOの概念がそれこそしっかり定着しているのだとしたら、日本の中小企業はより危機感を抱かなければなりません。マーケティングへの意識の差が出ているためです。
彼らは英語を話せます。ネイティブ並に話すことができます。英語が使えてインターネットを使える以上、最新の情報を収集しようとすれば、いくらでも集めることが出来ます。一歩遅れて日本語で入ってくる情報よりも、圧倒的に大量かつリアルな情報をすぐに手に入れることが出来るのです。
だとすれば、最新のマーケティングやビジネス、IT、技術、サービス、ありとあらゆる分野で情報を手に入れることはたやすいことです。その気になれば、日本の組織よりも先に進化することも可能でしょう。
もし、日本人が英語を話せていれば、上記のような不安はなくなったはずです。圧倒的な技術力と知識、勤勉性で、かつ英語圏の情報と感覚値を共有できていたら。英語が伝えてくることは、情報だけではありません。世界中の空気感や文化が伝わってくるのです。
例えば、世界のほとんどで日本語が通じたら。世界中の知識や文化を感じることが出来たのなら。すぐにマーケティングの概念だって取り入れることができたと思います。それを可能とするのが「英語」なのです。フィリピンにはそれが出来る力が備わっていて、日本にはありません。その差は「英語」であることが大きいのは疑う余地はありません。
逆に英語を自在に操ることができれば、世界レベルで最先端の方法論や考え方、手法を集めていくことができるのです。いくら日本が優れているからといって、世界中から情報をすぐ集められることと、日本語に翻訳されている知識だけを集めるのでは、比べる余地もなく世界中から情報を集めたほうが効率的でしょう。世界中には日本語で得られる情報より、遥かに多くの知識があるのです。日本はすごい、とあぐらをかいていても仕方がありません。
後日、インターネットを介してもう1名、フィリピンの方と知り合いました。その方も、最初は単純に友人として交流をもっていたのですが、ある時仕事の話をするタイミングがありました。そこで色々な話をすると、彼はO-DESKに登録してフリーランスとして働いているとのこと。O-DESKは世界最大のクラウドソーシングサービスで、2012年の時点で売上高は3.6億ドルという膨大な規模に膨れ上がっています。もちろん、この巨大なプラットフォームで使われている言語も英語。英語を話せなければ、蚊帳の外です。
そのフリーランスのフィリピン人は言いました。「オーストラリアの人と仕事をした。アメリカの人と仕事をした。こんなことがあった。あんなことがあった」と。フィリピンから、インターネットを通じて世界中の人々と仕事をしていたのです。
さらに、手がけた分野は主にソーシャルマーケティングです。SNSを使ったマーケティングを中心として、世界中に情報や分析を提供し、数多くの人の助けとなっていたのです。
内容も素晴らしいもので、さらに、賃金もとてつもなく安い。これだけ経験があり、アメリカやオーストラリア、その他の国々と仕事をした経験もある人物が日本にいたら、たくさんの企業に引っ張られることでしょう。彼のようなポテンシャルや能力を中小企業が気軽に雇えないのも、日本人が英語を話せないからです。
先進国にも関わらず、世界と仕事の接点を造ることを高いハードルとする日本。一方、発展途上国にも関わらず、ネットひとつで世界中と仕事が出来るフィリピン人。全員が全員そうではないでしょうが、この差は一体どこから来るでしょうか。もちろん、英語です。
「まだまだ日本にはチャンスがある」「日本国内だけでも充分」そんなことは言ってられません。むしろ、このまま日本が世界とつながらずに、未来は明るくいられるでしょうか? 英語が過小評価されるのは、世界という市場の重要性を認識している人が少ないからです。「気づいていない」から英語の価値が過小評価されている。
このまま物事が進むと、例えば単純な話、日本が多くの移民を受け入れることになった場合、多くの労働力や商品が他国に塗り替えられてしまうでしょう。もちろん、そうじゃなくても気づいている人は気づきます。英語が話せる、もしくはコミュニケーションの手段を持っている人は、すでに世界中の労働力や資源を適材適所で使うことで、効率よく事業を進めることができています。
特にクラウドソーシングの話を聞いたとき、たくさんの話が出てきたのに、日本人と仕事をした、という話は一切でてこなかった。それが、何よりも日本が世界を使いきれていない証拠ではないでしょうか。
英語を話せるだけでも、世界というフィールドを仲間にできる。一番自分たちにとって、たくさんの選択から、効率よい人生を選べる。選択肢が膨大に広がる。その手段を使えていないのは、英語が話せないからです。世界にもたくさん仕事のチャンスはあります。しかし、英語が話せないせいで、日本で奪い合いをしなければならない。そんなチャンスを活かせないのも、英語の壁があるからです。
よりITが進化してきたことにより、これから日本とその他の国の境界線は薄くなっていきます。これまでも薄くなってきましたが、さらに薄くなるでしょう。そんな中、果たして英語を話せる人が少ない日本のままであれば、どのような状態になっていくのか。想像は容易いです。これから、英語を話せる人が増え、日本が世界を使いこなせるようになったらいいなぁと、思います。
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