何の最先端でも「知らなければ興味がない」のは当然。「知れる段階作り」をまず進めるべき。

公開日 : 2016-11-03 / 最終更新日 : 2023-11-12

何の最先端でも「知らなければ興味がない」のは当然。「知れる段階作り」をまず進めるべき。

こんにちは。上山です。事業を作ったり売ったりしています。 私が今もっているビジョンは「日本に住む人誰もが、事業を持てるインフラを作る」ということです。その言葉の裏には、もっとイノベーションが起きやすい社会にとか、シリコン […]

著者: 上山 翔太

こんにちは。上山です。
事業を作ったり売ったりしています。

私が今もっているビジョンは「日本に住む人誰もが、事業を持てるインフラを作る」ということです。その言葉の裏には、もっとイノベーションが起きやすい社会にとか、シリコンバレーみたいな「やってみよう」的なマインドとか、問題解決できる能力を日本全国の人が持てるようにとか、様々な願いがあります。

だからこそ、2016年にはOPNESEEDというスクールを立ち上げました。そして、シリコンバレーの考え方や手法、そして空気感を日本に持ってきて伝える、ということで打ち出しました。

確かに、たくさんのお問い合わせを頂くことはできました。しかも想像以上にたくさん。でも、実際にやって分かったことが、このやり方では、誰もが事業を作るインフラは作れない、ということでした。

理由は1つ。

いい教育を受け、ハイレベルな人付き合いが出来た層「だけ」に、多くの機会が与えられてしまうからです。これまでの社会と一緒です。家庭環境も良く、お金もあり、真面目に勉強して、いい成績とった人に多くの「機会」が与えられる構図になってしまう。

なぜそうなってしまうかは、今日のメインポイントとして、後ほど説明します。

ちなみに、ここで「え、それでいいよね?」とは思っちゃだめです。

機会や可能性で言えば、反骨精神はバカにできません。むしろ逆境ばかりの人生を送ってきた人の方が一気にのし上がったりするので、真面目で勉強していい成績とって、家庭環境もよく学費も払えた人々だけに機会が与えられるのは、理にかなっていません。それじゃダメなわけです。

機会は公平であるべきです。

目指しているのはそうじゃなくて、たとえ「格好よくなくても 強くなくても 正しくなくても 美しくなくとも 可愛げがなくとも 綺麗じゃなくとも 才能に恵まれなくっても 頭が悪くても 性格が悪くても おちこぼれでも はぐれものでも 出来損ないでも」最先端に触れられる機会なのです。あ、今のはマンガのセリフです。球磨川禊くん。

で、なぜ「いい教育に辿り着いた層だけに」機会が与えられてしまうのか。

僕のまわりには、シリコンバレーを目指している人や、現地で一生懸命、ビジネスの取り組んでいる方々がたくさんいます。世界最先端のマインドや考え方、手法に触れ、日々イノベーションを起こそうと切磋琢磨しています。ただ、どうしてそんなことが出来るかというと、運良く「そういうものがある」と知れたからです。もちろん、その上で尋常ならざる努力がありますが。

イノベーションは社会に求められてますし、今の日本にとって絶対にすべき大事な活動です。そういった実感をリアルに持てるのは「知れたから」なわけです。

知れたから目指すこともできて、価値があると理解できたから、勝負できるステージに立てたのです。ただ、そこに行き着くためには、まず「興味」を持つ機会があって、行動をおこす「意思」が無ければならない。

ところが、僕も含めて、それができることは幸運なことなのです。

なぜか。

そもそも、知る機会や興味を持つ機会、触れる機会が、日本の家庭、幼稚園、小学校、高校、そして大学、社会人になっても、ほとんど存在しないからです。

大学以降になれば、確かに様々な活動はそこにあります。最近では、高校レベルでも、シリコンバレー式の教育を受けられるところも出てきました。

ただ、基本的に、親も子供も知らないし、知らなければ興味も持てないから、存在していても価値がわからずスルーしてしまうことになる。普通は。触れたことが無いものの価値は、わかりません。興味すら持てる可能性は五分五分です。

今の社会には、イノベーティブな活動や情報に到達する過程の中で「知り」「興味を持ち」「参加する」までの段階が、あまりにも足りなすぎるのです。完成された高いレベルでの伝え方しかされていない。だから、イノベーションなんて言っても、これまで触れたこともないため、ピンとくるわけもなく、ふーんで終わってしまう。

それがいかに世界的に価値のあることか、また、自分自身にとってもどれだけ大きな価値をもたらしてくれるのか、理解できるまでの段階が少なすぎるのです。

「常識」のレベルで言えば「スタートアップって何?」「資金調達って?」「投資家ってお金もち? FX? あやしい人?」「ビジネスってなんか怖い、詐欺?」「サンフランシスコ? なんか快適そう」みたいなレベルなわけです。

スタートアップって言葉にいたっては、ビジネスを教えている人でさえ間違って覚えていたりしますからね。あれ、初めたばっかりの企業って意味じゃないですからね。

そこに「シリコンバレーで最先端のすごいスタートアップ育成プログラムやりましょう」と言ったところで、響くかっていうと直球でいったら響かないわけです。わからないのが当然です。

いえ、もちろん、分かる人にはわかりますよ。

ただ、その大半が「いい大学いけた人」だったりするんです。良い大学であれば、触れられる機会増えてますし。ただ、おかしなことに、実際に起業してシリコンバレー式の経営とか出来る人は、高卒の人だったりするんですけど。

アメリカであれば、シリコンバレーのスタートアップなんて活動はそれこそ、みんな隣にあるようなもので、知れる機会なんていくらでもあるでしょう。その熱も含め。どんな人でも。ただ、日本は知るまでがあまりにも遠すぎる。

そんな根本的なところに問題があると思っています。

で、若いうちに高いレベルに踏み込めた人たちは、みんな「知らない人」との関係性を絶ちますね。話があわない、興味がない、レベルが低い、って言って。すると、ますます意識の差が広がっていくわけです。まあ、興味を持とうとするマインドって大事だとおもいますけど。それすら、知らなければ持てないかもしれない。

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だから、普通にシリコンバレーどうのこうの、って叫んでも、みんながみんな理解できるはずもなく、結局自分たちが当初意図していた「すべての人が」というステージに登ることが出来ないかなと感じたのです。

もっと、より多くの人が、手に取りやすいところにプログラムを置かなければならない。

自分が興味のあるところに踏み込んでいたら、自然と最先端のことを知って、実行していた、という流れを作らなければならない。階段を登るかのように。

そのために何をするかと言うと、シリコンバレーの最先端を最初から叫ぶのではなく、まずこちらが「常識」に近づいていって「常識」と重なり合う位置において、階段の一歩目を作らなければならない。

そして、いずれOPENSEEDのような場所に興味を持ち、足を踏み込んでいけるように「常識」をアップデートしていかなければならないのかなと、感じるわけです。

だから、今度すべき挑戦はそこかなと。

「常識」に歩みより、知る機会をつくること。

それこそ「格好よくなくても 強くなくても 正しくなくても 美しくなくとも 可愛げがなくとも 綺麗じゃなくとも 才能に恵まれなくっても 頭が悪くても 性格が悪くても おちこぼれでも はぐれものでも 出来損ないでも」最先端の意識に触れられる道を1つ、作ること。ここに根本的な社会を変える種があるんじゃないかと感じています。

あ、だからと言って、全部無料とかじゃないですよ。めっちゃ払いやすい形で提供できる接点が必要だということであって。やるからには自己犠牲ではなくしっかり稼ぎたいんで。笑

そもそも、自己犠牲なんてしても、インフラにはなり得ないですからね。一瞬の花火で終わるだけ。

それにしても、今の日本社会における「事業」の動機って、自由にやりたいか、稼ぎたいか、みたいなところがほとんどなんだなあ。わかりやすい。

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