スキル教育を受けるなら「すぐ答えを教えない」人にお願いした方がいい理由

公開日 : 2020-05-11 / 最終更新日 : 2023-11-12

スキル教育を受けるなら「すぐ答えを教えない」人にお願いした方がいい理由

例えば、プログラミング教育をする時に、たくさんの人が「15分悩んでわからなければ、すぐ聞こう」という指導をしていると思います。 ただ、考えてみてください。全ての答えが15分後にわかる状況なら「自分で作る必要」なんてありま […]

著者: 上山 翔太

例えば、プログラミング教育をする時に、たくさんの人が「15分悩んでわからなければ、すぐ聞こう」という指導をしていると思います。

ただ、考えてみてください。全ての答えが15分後にわかる状況なら「自分で作る必要」なんてありません。うわべだけ悩んで、15分たてば全ての問題が解決されている環境で、果たして力がつくでしょうか。それで答えを教えてもらって、本番、誰かに多くを聞くことなく、仕事を完成させられる「自信」がつくと、本気で信じられるでしょうか?

例えば、プログラミングで言えば、スロットマシンのプログラムをどうやって作るか考える時、試行錯誤して自分で仕組みを作るからこそ、その構造が理解できます。最初に挑戦する時、たった15分悩んで仕組みを考えついたり、理解できることは希です。大して試行錯誤したわけでもないので、理解も深まりませんし、自分一人で作れるようになんてなりません。試行錯誤して考えていくうちに、本質的に技術への理解が深まっていきます。

わからなくて、教えてもらえたとしても「なんか動いたけど言われた通りにやっただけ」「本質的に理解してないので、別のプログラムを書く時に応用できない」となり結局、何一つとして身についていないことが大半です。それで身につくのは、教えてもらったことを全て丸暗記でき、かつ、そこから応用して他のプログラミングも書けるようになるといった超人だけです。

実際に学んでいる方は、多少、覚えがあるかもしれません。教科書通りになぞって作ってみたけど、自分で何か作ろうとしたら、どうしていいかわからない。Progateなど学習教材をなぞってみたけど、結局、自分で作ろうとしたら最初に何をすればいいかすらわからない。答えをすぐ教えてもらえる環境にいたら、そうなってしまいます。

では実践で使えるスキルを身につけるにはどうするか、というと、少しずつ自分で考えて試行錯誤して試しながら、わかる範囲からでも答えを見つけ出していくことです。そうやって「聞きグセ」ではなく、「自分で答えを見つけていく癖」をつけることで、考える力や方法そのものが身につき、技術を使いこなせるようになっていくのです。

わからなかったら聞こう、と指導する優秀な人自身は、誰にも答えを教えてもらえない環境で育ったから優秀になっている

「15分悩んでわからなかったら聞こう」と話している人の思考について説明します。まずそうした人の多くが「聞けなかった環境にいて、苦労したから聞いた方がいいと思っている」のです。

プログラミングは一度「書き方」を覚えてしまえば「次も書ける」と考えてしまいます。あくまでも言語なので、方法を「知っているか知らないか」こそ技術の差になると考えている方も多いです。だからこそ「答え」を教えて「覚えて」もらった方が成長が早いのだと勘違いしてしまいます。

ところが、中級者の人は自分自身が「聞けなかった時代に、自分で試行錯誤した経験」や「悩んで身につけた問題解決能力」に助けられていることを、自分自身でも自覚していません。聞けたから優秀になったわけじゃなく、聞けなくて苦労したから優秀なんだよなあと。

例えば彼らはスロットマシンを作る、という依頼がきたら自分で作り方をイメージできますが「答えを教え続けてもらった人」がそうした「未経験」の制作物の作り方をイメージするのは難しいです。

教えてもらった答えを再現し続けてきただけなので、それをどう応用するかの思考が育っていないからですね。結果、現場で教えてもらわないと何もできない人になってしまいます。僕も昔、答えを丁寧に教えるタイプでしたが、そうした人ほど仕事にする前に諦めてしまうので、やめたのです。

だから、答えをすぐに聞いた方がいいと、甘い言葉につられても、結局自分のためにはなりません。もし答えを聞き続けて実践で使える実力がついた人がいたら、その人はすでにかなりの問題解決能力を身につけている、頭脳明晰な人になるでしょう。そうした人には、どんどん答えを提供してもいいかもしれませんが、大半の人はそうはなりません。

ほとんどのスキル教育者が辿る道

スキル教育に関わり始めてからもう6年くらい経ちます。その中で何度も見てきた、おなじみの「教育者の成長パターン」があります。

まず、最初は「丁寧に教えること」を意識して、すぐに聞かれたことに答えるような形で育成をはじめます。その時はみんな「わからないことはすぐ聞いて」と話ますし、その方がユーザー受けも良いので、顧客を集めるためにも「プロに直接聞ける」ことを売りにして、ある程度拡大します。

ところが、質問があまりにも単純なものまで聞かれたり、自分で調べればすぐにわかるようなことも聞かれはじめるので「本当にこれ、みんな頭使って学んでるのか?」「本番だと、調べて解決することが大半なのに、こんなに答えをすぐ提供していていいのか?」という疑問が浮かんできます。

中にはファイルの送り方から、zipファイルに圧縮する方法、仕組みまで丁寧に教えることもあります。ただ、そんなのはGoogleで調べればすぐ出てくることですし、そもそも「調べて答えを出すことに慣れなければいけない」という現実に気づき始めるのです。育てるべきは「少しのヒントから答えを導き出す問題解決スキルそのものなんじゃないか」と。

実際に現場に出た生徒や、自分でゼロから何か作ってみた人が「自分でやろうとしたら結局作れませんでした」というフィードバックも受けるようになります。そこで、いよいよ改革が必要だという意識になってきます。

そこで、どうするかというと「質問方法のマニュアル」や「カリキュラムに取り組むマインドセット」を作りはじめます。そこでようやく「本質的な教育とは獲物を与えるのではなく獲物の狩り方を育てるべきなんだ」という認識が深まってくるのです。質問されたときも、答えをそのまま教えるのではなく、ヒントだけを教えるようになっていきます。

こうして形が定まってきた時に、新しい競合がわらっと現れて「うちはメンターにすぐ聞けます!」というメッセージを発信しはじめ、一通り教育の過程に携わってきた人は「ああ、またか。。」と言った気持ちになったりします。

このループが1年に1度は発生するわけです。なので、初心者さんが本当に選ぶべき教育機関は「聞き方のルールやマインドセット」が語られていて、かつ「聞くことに対して制限があるような場所」を選んだ方が、実力をつけるには適切とも思います。

気軽に聞いていいのは実践の時だけ

ただ、実際の仕事においては、少し話が違ってきます。納期がありますので、いつまでも悩んでいるわけにはいきません。なので、数時間悩みそうなら、わかっている人に聞いて問題解決した方がいいでしょう。今ならChatGPTもありますから、人に聞かなくてもすぐ問題解決できるようになりました。ところが、練習やスキル習得の時から同じ意識でいてはいけません。思考力が鍛えられないからです。

本番で聞いていいと言っても、基本は自分で試行錯誤して作っていくことが大事です。わからないこと全てを先輩に聞いていたら、ただただ仕事のできない人ですし、先輩の貴重な時間も奪ってしまいます。基本は自分で解決して、どうしてもわからない時に聞くのが基本です。

なので、ある程度の問題であれば、数分で自分で解決できる問題解決スキルそのものを鍛えておく必要があります。作るものをイメージして、どういった作り方をすれば的確なのか自分で考える力が鍛えられていなければなりません。それは、スキル習得の最中に自分で考え、答えを出しながら身につけるものです。

プログラミングやデザインをはじめ、作り方の暗記がスキル習得ではありません。与えられたプログラミングやデザインというツールを使って、どうやって仕事を早く的確に終わらせるかを考える必要があります。その考える力そのものを、学習の最中に「癖」としておくからこそ、本番でも実力を発揮できるようになります。

もしメンターつけたり学校に行くのであれば、考える力そのものを鍛えてくれるメンターや学校にお願いした方が良いでしょう。その思考がなく、ただ丁寧に答えを教えてくれる場所であれば、大したスキルにはなりません。現場で慌てることになるでしょう。

まとめ

今回の内容で「スキル教育を受けるなら、答えをすぐ教えない人や場所」にお願いした方が良い理について、認識してもらえたでしょうか。

正直なところ、毎年毎年、同じような教育システムが生まれては、同じように進化して、結局同じような結論にたどり着くので「新しく教育の仕組みを作る時に他の仕組み参考にしないんだろうか」と心底疑問に思ったりします。結局、本気で教育と向き合って、実際にカリキュラムを作ったり教育プロジェクトを主体的に作っているのなら、数年後、似た結論になってるんだろうなあと。

すぐ聞ける仕組みの教育機関に所属してしまったら、自分自身がよほど優秀でない限り、卒業後、大したものが作れない状況になることが多いです。そして就職活動やフリーランスとしての活動をはじめ、成果物だけでなく、問題解決能力さえ評価されず、当然、クライアントの問題も解決できないので、仕事ができない = 稼げない、となりがちです。

出来ても内職のような「すぐに代わりのきく仕事」や「更新業務程度」で、デザイナーやエンジニアとして、本質的に作る側に回れるのは相当先の話になるでしょう。

「すぐ聞ける!」「いつもメンターが隣にいる!」という耳障りの良い言葉で「サポート充実しているなあ」なんて考えて大金を払ったものの、結局、自分で何も質の良いものは作れず、仕事もできるようになっていないという状況に陥ってしまうのは避けましょう。

そうした失敗を数多く重ねてきた末に、あれもこれも答えは教えない方がいい、という結論に多くの人がたどり着いているのです。ほんと、そろそろこのループも終わって欲しい。もう繰り返さなくていいんじゃないかなあと、ぼんやり考えてしまいます。

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