「誰が欲しいと思うのか」を考えないという失敗。

公開日 : 2015-08-24 / 最終更新日 : 2023-11-10

「誰が欲しいと思うのか」を考えないという失敗。

先日、あるグループの共有チャットで、もやもやする光景を目にした。 みんなでセミナー企画を実施するため、ミーティングを開催していたのである。セミナーの内容は、魅力的だった。きっと「人生に迷っていたり、転機をどこかで探してい […]

著者: 上山 翔太

先日、あるグループの共有チャットで、もやもやする光景を目にした。

みんなでセミナー企画を実施するため、ミーティングを開催していたのである。セミナーの内容は、魅力的だった。きっと「人生に迷っていたり、転機をどこかで探している人には響く内容」だろう。自己啓発に近い。やりようによっては人は集まるはずだった。

しかし、結果的にそのセミナーは失敗した。人はあまり集まらず、そればかりか場所代やゲストの費用で赤字とも呼べる結果になってしまったのだった。内容を見ると、そこそこ集客は出来そうだったのに、なぜだろうか。

その時、共有チャットで交わされていた内容はこうだ。

「集客をしなければいけないから、みなさんに情報の拡散をお願いしたい!」 そんな、どこにでもありがちな内容である。しかし、他の人達はネガティブな反応を返した。「情報の拡散には協力するが、価格帯が高い」という意見が散見された。さて、この状況について考えてみよう。

その価格帯、内容を、自分たちが売れるのか

まず、拡散をお願いした人たちについて見てみよう。そのほとんどが20代で、その人々の周辺にはおそらく、これから「お金を稼ぎたい!」という層が集まってきている。お金を稼ぎたい! ということはつまり、今はそれほどお金を持っていない層が多い。

しかも、開催を企画しているのは、20代を中心としたコミュニティ。集まっている人々もまだ社会人経験の浅い年齢層が多い。もしくは、その人たちを助けたいと思う、すでにお金を稼いだ人たちだ。

そんな中「これからの子供達」に向けて「価格帯の高いセミナー」を開催したのだ。正直、失敗は目に見えていた。「価格設定が高いセミナー」に足を運ぶのは、実用的な情報を知りたい、これから現実的に何かを行う「存分に自己投資できる資金と体力」を持つ人々だ。残念ながら、20代のコミュニティに、そんな人はいなかった。

しかも、社会人経験も浅い層が集まるコミュニティである。もちろん、金額の高い自己啓発系のセミナーに足を運ぶ余裕がある人は多くない。集客をお願いする層が的外れであることは明確であった。

根拠を持たないリスクは自殺行為に近い。

ここで「なぜ価格設定を、無理に高くする必要があるのか」と言及する内容があがってきた。理由は「ゲストへの費用や場所代がかかってしまうから」とのことだった。既に場所もゲストも抑えてしまったのだという。これでは後に引けないはずだ。

これは、確実にイベンターのミスだ。

集客する層にリーチ出来る根拠もないまま、ただ自分たちのコミュニティがある程度大きい、という妙な確信に奢ってしまった結果である。そのコミュニティが集められる層は「9割型お金をあまり持っていない20代前半の社会人および学生で、かつ意識が高めの人」である。

確かにゲストによってはお金を払う人もいるだろうが、そもそもゲスト自体も、ちょっと背伸びしたら届くくらいの人物だったので、効果をなさなかった。明らかに「安い価格帯で20代のこれから何かやりたい人」を狙うべきなのに、それがまったく見えていなかったのである。

もし今回、高価格帯のセミナーを実施するのであれば「社会人経験もある程度あって、そろそろ人生を見つめなおしたい」と考える人に「より実践的なコピーやオファーを持ってアプローチする」「25歳〜35歳程度の層にとって魅力的なゲストを呼ぶ」ことが条件であれば、なんとかなっていたかもしれない。完全に、自分たちがアプローチ出来る層が頭に無く、ただ「なんとなく役に立ちそうだ」の観点からイベントを実施してしまった結果だ。これでは失敗してもしょうがない。

それどころか、チャットの中では「最初のイベントは失敗するもの」であったり、非常に抽象的かつ精神論的な内容が多く、その本質に対して言及する人は誰一人としていなかったのである。ここで、どうしてこのような現象が起きてしまっているのか、考えた。

間違ったらその原因を分析すること。

明らかに失敗の原因は考えれば見えてくる。だが、誰もその原因にたどり着くこと無く、自分の「なんとなくこうだろう」という安易な価値観で意見をしたり、アドバイスしたりする。これでは何をするにも成長が遅いばかりか、そもそも成功には程遠いのではないだろうか。

何かを売る時には、その商品を購入する人々が存在する。それがどこにあるのか、または自分自身の力でその人々にオファー出来るのかを考えなければならない。もしオファー出来ない場合は、商品自体の見直しをするか、ターゲットとなる人々にリーチする方法を探さなくてはならない。これは、やって当然の最低条件である。

今、「やりたいことをやる」「自分の売りたいものを売ればみんなついてくる」という言葉ばかりが先行して、その本当の意味を履き違えていることが多い気がする。確かにスティーブ・ジョブズや多くの起業家は、自分の作りたいものを作って成功したかもしれない。イノベーターになれたかもしれない。

だがそれは世の中に「欲しい」と思っている人がいて、的確にその人々にオファー出来たからだ。求める人が大勢いると、確信できるからだ。それが出来ないうちに、もしくはその人々が存在しているかどうか気づかないうちに ( ちょっと考えれば分かる話なのに)やりたいことをやるだけだと、失敗してしまう。当然のことだ。

絶対に売れるという確信に繋がるまでつきつめる。

確かに自分が「ほしいと思うものを作る」であったり「本能的にこれをやったら売れるという勘」は大切だ。だからといって、それを広める術や市場を何ひとつ見極めないまま進めてしまうのは、ただ無謀なだけである。

確かに、今の時代は「印象」がことごとく物事を左右する。インフルエンサーが良い例だ。内容が適当なことを言っていようが、印象を演出できれば伸びる。だが仕掛ける側が印象ばかりに頼っていてはいけない。なんらかの確信を持たなければならない。

本当にイベントが素晴らしいなら、コミュニティに拡散をお願いした時に、みんな快く協力してくれるはずだ。それほどの確信を持って新しいサービスに望むことだ。この売れる軸を掴もうと必死になる意識こそ、挑戦者の多くに欠けているものであり、必要なことなのではないだろうか。

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